ツクイヨシヒサの「必筆!仕事人」

マンガ評論家&ライターのツクイヨシヒサによるブログです。酸っぱいブドウの酸っぱさについて、主に語っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

最近、読んだ本(野球データ編)

    
    



巷に並ぶ野球関連書籍には、
技術系から小説の類まで幅広くあるわけですが、
「データ(&ルール)」というのも、
ジャンルの1つとして定着しています。


そこで最近、読んだ
「データ(&ルール)」系の書籍を
いくつかご紹介したいと思います。


冒頭に掲載した書籍について、左上から順番に挙げていきますね。


徹底データ分析 甲子園戦法 セオリーのウソとホント
 (川村卓著、中村計著/朝日新聞社刊)


2005年夏、2006年春夏、2007年春の甲子園4大会のデータをもとに、
高校野球のセオリーと結果について分析した本です。

正直、「サンプルが少なすぎかな?」とは思うものの、
「無死一塁では、送りバントでも強攻策でも、得点の可能性はあまり変わらない」とか、
「2死走者なしからの得点率はたったの6%」など、
「ああ、やっぱりそうなのね」と頷きたくなる数字が並びます。

欲を言えば、「甲子園の戦い方」ではなく「甲子園に出るための戦い方」を教えてほしかった。
毎回ベスト16以上まで残るのに、甲子園まで辿り着けるチームと消えてしまうチームは何が違うのか。
神奈川県と鳥取県では、同じ高校野球でもセオリーが変わってくるのか。
データが膨大になるのはわかっているのですが、読んでみたいなー。



野球人の錯覚
 (加藤英明著、山崎尚志著/東洋経済新報社刊)


先ほどの『甲子園戦法〜』が高校野球だったのに対し、
こちらはプロ野球のデータを対象にした本です。

データスタジアムからのデータ提供を受け、2005年の数字を中心に、
「試合の流れ」や「ジンクスの真偽」などについて論じています。

「先頭打者に四球を出すと試合の流れは悪くなるのか?」
「ノースリーからのヒッティングは是か非か?」
「ラッキーセブンは本当に点が入りやすいか?」
などなど。

こちらもやはり、サンプル数の少なさが気になるところ。
集計した数字を見ながら、〝とりあえずの結論〟を述べている、
という印象をどうしても受けちゃいますかね。



データで読む 常識をくつがえす野球
 (小林信也著/草思社刊)


奇しくも上記の『野球人の錯覚』同様、
データスタジアム協力のもと、
2005年シーズンのプロ野球データを解析した一冊。

大きな違いは、著者の雑感が随所に登場する点。
導き出された結論も「勝つ野球の法則」として、積極的に提示されています。

「『初回限定投手』という発想もある」
「『代打の代打』はナンセンス」
「打者の実力が露呈する『貢献打率』という発想」
などなど。

同じようなデータを扱っても、論じる人によって
こんなに結論の印象が違うんだなー、というのが素直な感想です。



野球の科学 (図解雑学)
 (筒井大助監修/ナツメ社刊)

科学的な裏づけを背景にしながら、野球の基本を説明した本です。

投げる・打つといったベーシックな動きから入り、
「盗塁と球速」の関係性や、外野手の肩で変化する
「犠牲フライのボーダーライン」
などにも言及しています。

入門編のような内容が多いですが、
「イップス」や「名前負け」といった精神面まで扱うなど、
なかなか幅広い情報が盛り込まれていました。



野球虎の巻
 (野球指導書編集委員会/データ・ハウス刊)


相手のスキを突く「クレバー」なプレーを集めた作戦集です。

「影武者を作りタッチアップのタイミングをずらす」
「外野手が捕球前に転ぶ」
「守備妨害でダブルプレー阻止」

など、トリッキーなプレーが盛りだくさん。

あまり教育的でない作戦も含まれていますが、
個人的に、こういうプレーは大好物です!
セコくも汚くもありません。「クレバー」です、「クレバー」。

ありそうでなかった貴重なテクニック集。面白かったです。



メジャーリーグの書かれざるルール
 (ポール・ディクソン著、水戸重之監修・翻訳/朝日新聞出版刊)


日本人選手がメジャーリーグへ挑戦する際、しばしば話題に挙げられる
「書かれざるルール」についてまとめられた一冊です。

メジャーの暗黙ルールと言えば、「味方の打者がぶつけられたら、ぶつけ返せ」が有名ですが、
本書を読むと、「投手は、攻守交代では歩いてベンチに戻る」
「ピッチャーは2桁の背番号でなければならない」など、
思わず「そんなことまで決まっているのか」と言いたくなるようなルールが掲載されています。

守るべき理由がいま一つ、はっきりしないルールがあるところや、
翻訳物特有のわかりにくい言い回しが気になる部分はありますが、
メジャーリーグが好きな人なら知識として1冊、手もとにあってもいいかなと思います。


ではでは、またー。


  
  

『ラストイニング』35巻発売。

  


『ラストイニング』35巻が発売中です。

帝大一高との試合も中盤を迎え、ますます白熱!


今巻で強く印象に残ったのは、帝大一高・赤羽監督

特に、彼の指揮官としての性質 です。


赤羽監督は、試合が始まってもどこか飄々とし、つかみどころがありません。

大豊高・大友監督のように明るく選手を鼓舞するわけでもなく、
聖母学苑・桐生監督のように冷ややかに試合を分析し尽くすわけでもない。

ブツブツとボヤくように試合展開を眺めては
時折、「なあ?」と隣にいる選手に同意を求めるだけ。

たまに、チームのネジを巻くために気合いを入れることもあるが、
基本的には鳩ヶ谷と同じ、「相手の嫌がることをする」タイプ。

鳩ヶ谷本人も、前巻で
「どっちがキツネかタヌキか分かんねーけど、とんだ化かし合いになってきた」
とグチっており、赤羽監督も
「策士だからね、鳩ヶ谷クンは………」
と煙たそうに呟いていました。

お互いに似た者同士であるため、相手の性格の悪さがよくわかってしまうわけですね。

というわけで、ここまでは

赤羽監督=名門校を率いた鳩ヶ谷圭輔


という感じなのかなと思っていました。


しかし、この35巻では鳩ヶ谷ともまた少し違う、
赤羽監督の特筆すべき性質が見えてきました。

それは、運や流れを重視する姿勢です。

以下は、試合中盤〜後半にかけて起こったプレーの状況と、赤羽監督の対応をまとめたものです。


(状況)攻撃時、いい当たりが野手の守備範囲に飛び、悪い当たりがヒットになる。
                ↓
(対応)警戒して外してくる初球を強引にヒッティング。結果はヒット。


(状況)前打席で一死一、三塁からゲッツーを打った1年の木場が、再び同じ場面で打席へ。
                ↓
(対応)「打って欲しい時に打つ!!」イメージがあることを理由に強攻。タイムリーヒットに。


(状況)最終回、満塁策で塁を埋め、左打者との勝負を選んだ彩学ナイン。
                ↓
(対応)「ああ落ち着かれると揺さぶりかけたくなる」と、右打者を代打に。犠牲フライ。



上記のような采配から、同じ勝負師タイプの監督ではあるものの、

鳩ヶ谷が、己の手練手管を用いて、わずかな勝機を引き寄せる
〝策略家〟気質なのに比べ、

赤羽は、勝負の運気を読み取り、相手に流れを渡さないようにする
〝ギャンブラー〟気質 であることがわかってきました。


試合は大詰め。九回裏、帝大一高の攻撃。
二死一、二塁。点差は1点。
彩学は、このピンチをしのぎ、勝利を手にすることができのか!?

というところで、次巻へ続きます。



「東京野球ブックフェア2012」に行ってきた。

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2012年10月14日(日)、東京・月島にて「東京野球ブックフェア2012」が行われました。

昨年に続き、2回目の開催です。


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第1回よりもブースが増え、来場者もだいぶ増えた印象。

女性の参加者も多かったです。

この勢いで、どんどんと大きなイベントになってほしいですね。



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イベントも盛りだくさん。


●元横浜ベイスターズの中野渡進氏がプロ野球界をぶった斬る
『出張「もつ鍋わたり」! 2012年プロ野球総括』

●駒田徳広氏を特別ゲストに招いた、スージー鈴木×ヨシノビズムによる
『プロ野球×歌謡曲ナイト 野球音楽と歌謡曲を語る!!』

●甲子園ファンにはお馴染みのラガーさん、スギさんを招いた
『菊地選手vs甲子園の珍獣』


など、野球ファンにはたまらない、
その他の人には何のことやらよくわからないラインナップが勢揃いでした。


さらに『野球女子のためのスコアつけ講座』では、
タレントの磯山さやかさんが飛び入り参加!!

イベントの存在を知り、何とお忍びで登場とのこと。

じつは、磯山さんとは以前
『磯山さやかの「女子マネ」野球主義!』(ゴマブックス刊)という本で
お仕事をご一緒させていただいたことがありまして、

図々しくも会場でご挨拶したところ、
「覚えてます!」とステキな笑顔を返してもらいました。

もしかしたら磯山さんは、まったく覚えてなかったかもしれませんが、
とっさに「覚えてます!」と答え、こうした野球イベントに貴重なオフを使い、
さすがだなぁーとあらためて感動させられたのでした。


ちなみに当日の磯山さんのブログはこちら↓

『磯山さやか オフィシャルブログ』
http://ameblo.jp/sayaka-isoyama/day-20121014.html





『カウボーイ・ビバップ』イベントへ行ってきた。【後編】

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20012年10月13日(土)に「『カウボーイ・ビバップ』ブルーレイ・ボックス」(12月21日発売)化を記念して行われた、オールナイト上映イベント報告の【後編】です。

【前編】はこちら。


メイン声優4人によるトークショーの後は、本編の上映です。


今回は、インターネット上で事前に実施されたファン投票において、
1〜10位に入った人気エピソードが流されます。

注目の上位トップテンは、以下の通り。

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「好きな話数3話選ぶという投票形式の為か、前後編になる事が多かったスパイクとビシャスの因縁にまつわるエピソードは少なく、逆に『カウボーイビバップ』の振り幅の広さを実感させるエピソードが並んだ」

上記は、公式HPのイベントレポートからの抜粋ですが、まさにそんな感じですね。


ちなみにオレは、

「ワルツ・フォー・ビーナス」
「スピーク・ライク・ア・チャイルド」
「ザ・リアル・フォークブルース(後編)」

の3話に投票していので、3打数2安打の結果でした。



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真夜中に、六本木で、大勢の知らない人たちと観た『〜ビバップ』。

なかなか味わい深いものがありました。

ビバップ号クルーの掛け合いも、間近で見られてよかったです。

山寺宏一さんも、林原めぐみさんも、やっぱりタダモノな方じゃないです。





  

『カウボーイ・ビバップ』イベントへ行ってきた。【前編】

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「『カウボーイ・ビバップ』ブルーレイ・ボックス」(2012年12月21日発売)化を記念し、
10月13日(土)に行われたオールナイト上映イベントへ行ってきました。


場所は、六本木ヒルズにあるTOHOシネマズ。

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チケットは予約開始直後に完売です。

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当日のスケジュールは、こんな感じ。
22時30分〜28時15分までの長丁場です。

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(↑クリックすると拡大します)




まずは、メイン声優4人による注目のトークショーからスタート。

山寺宏一さん(スパイク役)、林原めぐみさん(フェイ役) 、石塚運昇さん(ジェット役)、多田葵さん(エド役)が勢揃いするという、貴重な瞬間です。



●トークの内容については、↓こちらの公式HPに詳しくまとめられています。

 2012/10/19 『COWBOY BEBOP』 Night Selection イベントレポート
 http://www.sunrise-anime.jp/staffcolumn/cowboy_bebop/





Cowboy Bebop Vol. 1 : Asteroid Blues [VHS] [Import]




リンク先に書かれていない部分で、印象に残った部分を3つほど挙げると、

1・『〜ビバップ』は放映前、アニメ誌の取材が1つもなかった
  (放送枠もギリギリまで決まらなかった)。

2・『〜ビバップ』の登場人物たちは、人種が明確に設定されている。

3・『〜ビバップ』には、「男女の恥ずかしいところ」が凝縮されている。


これらの発言は、トークに同席していた舞台設定の佐藤大氏によって、主に語られたものです。


1なんて、いい話ですよね。
何も作り始めていないうちから、
宣伝やら広告やらマーケティングやら
分布図やら模式図やらフローチャートやらに振り回れている
世の若いクリエイターさんたちは、ぜひこのエピソードを言いわけに使いましょう。

2は、『ビバップ』の特徴としてよく挙げられる点なのですが、
現実には存在しない無国籍人や、
いかにもアニメ然とした未来人という設定に逃げず、
しっかりと人種を描き分けたことで、「作品が古くさくならない」のだとか。

3は、渡辺信一郎監督と、シリーズ構成の信本敬子氏による
当時のやりとりを説明した流れで語られました。
個人的には、一番グッと来た言葉です。


男女の色気って、カッコつけた仕草や美しいセリフの積み重ねでは、出て来ないと思うんですよ。
やればやるほど白々しいだけというか。

むしろ、お互いのダメさ加減をあざけるような関係性、
「男ってバカよね」&「女ってズルいよな」の間にこそ、
男女のロマンティシズムなんてものが横たわっているんじゃないかなー、
そんな気がしないでもないなーとか。


思ったりしながら、【後編】へ続くのです。






  
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【 ツクイヨシヒサ 】


マンガ評論家&ライター。1975年生まれ。書籍、雑誌、ムック、インターネットなどで活動。

●ツイッターはこちら↓ https://twitter.com/tukui88

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●著書「あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論」(飛鳥新社)発売中。

  


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