ツクイヨシヒサの「必筆!仕事人」

マンガ評論家&ライターのツクイヨシヒサによるブログです。酸っぱいブドウの酸っぱさについて、主に語っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

2010年06月

最近、読んだ本(軽妙力)

文章で笑わせるのって難しいですよね。

一発ギャグみたいに勢いでゴマかせないし、仕草や表情でフォローもできない。

何より、相手の反応が見えないというのが一番コワイ。

「もしかしてコレ、こっちがジョークで言っているってことが
 読者に伝わってないんじゃ。。。?」なんて考え出すとホント、キリがない。


というわけで、1人語りの文章で笑わすことができる人は無条件にリスペクトです。



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『ツチヤの口車』(土屋賢二著/文藝春秋刊)


『週刊文春』でお馴染みの連載です。
土屋先生は「哲学自虐ネタ」という独自の立ち位置を
フォーマット化されているので、いつでも安心して読めます。


ちなみに奥様ネタもいいですが、個人的には
研究室の女学生との会話ネタが好きです。



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『妻の口 一度貼りたいガムテープ』(綾小路きみまろ著/PHP研究所刊)


ウチの母親に「きみまろネタって何が面白いの?」と訊ねたら、
「だってホントのことだから(笑)」って言ってました。


ハタから聞いていると悪口にしか聞こえないのに、
むしろ本人たちがすすんで楽しんでしまう。。。


それはひとえに言葉のチョイスの妙なんですよね。

文字で読むと、さらにそのことがよくわかります。



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『つっこみ力』(パオロ・マッツァリーノ著/筑摩書房刊)



パオロ・マッツァリーノさんの新書です。

何かの講演が、もとになっているのかな?


言葉遣いなどは相変わらず軽めですが、
その裏にある思いや情熱がいつもより行間から
発せられていたように感じました。

やっぱり、そういうのがないと書けないですよね。



では、また次回。

相棒はコンビニクーラー

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昨年は引越ししたこともあって、オレの人生の中でもっとも電化製品を買い替えた1年でした。

その中で「これはいいわぁ」と、一番感動したのがシャープのコンビニクーラー(写真)。


簡単に言ってしまえば「冷風の出る除湿器」なんですけど、
普通のクーラーのようなエゲツなさがなく、じつに気持ちがいい!


毎夏、都会のデパートで凍えている人、
電車の「弱冷房車」に乗るために汗だくになっている人、
マイカーのエアコンのせいでクシャミまみれに
なっている人などには、打ってつけの逸品です。



まあ、オレなんですけどね。




今年も暑くなってきたので、さっそく仕事のお供にしています。

「満水」マークが点滅するコンビニクーラーからタンクを取り出し、
ジャバジャバと流すときのあの快感!

ヤミツキです。



そういえば余談ですけど、オレは子どもの頃、
大人の言う「蒸し暑い」ってのがよくわからなかったんですよね。

温度の違いってのは「暑い」と「寒い」しかなかった。


それがいつの頃からか、気温と同じぐらい湿度の高さが気になりだし、
最近では「いくら暑くても蒸し蒸ししてなければオーケー!」と思うようになりました。



大人になるって、ホント不思議。。。

『告白』を読んだけど。

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『告白』(湊かなえ著/双葉文庫刊)


とある中学の終業式、最愛の娘を奪われた女教師が犯人である生徒2人に復讐を企てる──


本屋大賞&映画化の話題作です。



1つの物語で、これだけ自分の中で評価できる点とイヤな点が
はっきりしている作品は珍しいので、もう簡潔に書いちゃいますね。


●評価できる点

太宰治の『駆込み訴え』を彷彿とさせる独り語りの文体を
登場人物ごとの章立てによって複眼的に展開したところ。

これにより、読者は独白する人物と心理面でシンクロしつつ、
作品全体としては客観的に事件を俯瞰することができる。
アイデアの勝利だと思う。

一気読みさせる迫力がある(オレも一気読みでした)。



●イヤな点

読み始めから「ああ、またこの手のヤツか。。。」と、ウンザリするほどの品のなさ。

幼女殺人、鬱病、イジメ、モンペ、エイズ、親殺し。。。。。。

キーワードがいちいち「ケータイ小説大好き中学生」のレベルを脱してない。


登場人物たちの言動も、作者の自意識過剰な日常の不満を
エゲつない表現で描いているだけに見える。

もしかしたら、すべて計算なのかもしれないが、それはそれで下品だと思う。




というわけで全体の感想としては、

「思想の欠落した『バトル・ロワイヤル』」

あるいは

「ファンタジーを失った『デス・ノート』」

といったところですかね。



刺激的なことや、人をクサすようなことってのは
確かに面白いし、「売りモノ」になるんでしょうけど。

それだけで「作品」と呼んでいいものやら。


ちなみに、オレが読んだ文庫版には映画を撮った中島哲也監督の
特別インタビューが巻末にあります。
これはなかなか興味深い内容でしたので、未読の方には文庫版をオススメします。
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【 ツクイヨシヒサ 】


マンガ評論家&ライター。1975年生まれ。書籍、雑誌、ムック、インターネットなどで活動。

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●著書「あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論」(飛鳥新社)発売中。

  


●編著「ラストイニング 勝利の21か条 ─彩珠学院 甲子園までの軌跡─ (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)」(小学館)発売中。

  


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