『パチンコがアニメだらけになった理由』(安藤健二著/洋泉社刊)



ルポライター・安藤健二氏の新作が出ました。

今回はアニメ作品とパチンコ業界の関係についての謎に迫っています。


氏に関しては以前、このブログでも触れたことがあります(『封印作品の闇』を読んだ。参照)が、
その硬派なスタイルは今作でも変わりはありません。


シンプルな疑問設定 → わかりやすい仮説 → 取材・調査 → 事実のまとめ


という当たり前の構成を丹念に繰り返しながら、真実を追い求めていきます。

特に安藤氏の作品は、前半の「疑問設定」&「仮説」が
いつもしっかりしているので、読んでいて論旨を見失うことがなく、
スムーズに先へと読み進めていくことができます
(これって、自分でやろうとすると意外に難しいです)。


それと、ルポルタージュならではのザラッとした肌ざわりみたいもの。
これが安藤氏の作品には漂っている。

今作で言えば、後半に登場するアニメ会社・ゴンゾとのやりとりとか(以下、ややネタバレあり)。

アニメ作品とパチンコ業界の関わりを探っていくなかで、
安藤氏は作中、何度も関係各所から取材拒否や門前払いにあうのですが、
このゴンゾの担当者・H氏(仮名)からは、ついにロイヤリティを請求されます。

「洋泉社さんもビジネスで出版されていると思うので、
 そうであれば著作権使用料を予算化されるよう、安藤様からもご提案していただければと考えます。
 単行本の場合は報道目的という理屈は通りません」


これに対し、安藤氏は

「報道目的の単行本が存在しないのならば、ルポなど何ひとつ書けなくなってしまう」

と要求を拒否します。


じつは、このくだりって本来なくても成立するはずなんですよ。
ゴールに設定した「アニメだらけになった理由」の直接の答えにはつながらないですから。

でも、こういうディテールの生々しさがあるからこそ、
現場の空気とか、隠れた問題の本質などが
読んでいるこちら側にも伝わってくるような気がするんですよ。


いよいよ安藤氏は、オレたちの世代の「溝口敦」氏になってきそうな一冊でした。