ツクイヨシヒサの「必筆!仕事人」

マンガ評論家&ライターのツクイヨシヒサによるブログです。酸っぱいブドウの酸っぱさについて、主に語っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

2012年04月

新連載は『タッチ』の続編?/あだち充

タッチ (14) (小学館文庫)



5月12日に発売の『ゲッサン』6月号(小学館刊)から、あだち充の新連載『MIX(ミックス)』が連載開始
その舞台が 26年後の明青学園 であることが判明し、話題になっています。


yahoo!ニュースのトップに掲載され、2ちゃんのまとめサイトにも取り上げられるなど、
あだち充&『タッチ』の威光がいまだ健在であることがうかがえます。


関連記事/あだち充:「タッチ」の26年後舞台に続編的新連載(まんたんWEB)




さて現在、明かされている情報のなかで、注目すべきポイントは以下の5つです。

1、物語の舞台が上杉達也たちの母校・明青学園であること。
2、『タッチ』から26年後の世界であること。
3、2人の兄弟が主人公であること。
4、主人公たちは野球をやっていること。
5、タイトルが『MIX(ミックス)』であること。



まず「1」ですが、読切「ゆく年くる年」のときにも述べた通り、
各作品における、あだち充ワールドはつながっているので、
『タッチ』の明青学園が再登場すること自体は、不思議なことではありません。

『KATSU!』のなかに明青学園が登場したときは、
『タッチ』から16年後という設定だったので、「2」の事実から単純計算すると、
今回の作品は『KATSU!』から10年後の世界を描いている、ということになります。


で、それらと「3」「4」を併せて「『タッチ』の続編キター!」となるわけですが、
じつは今作が続編であるとは、まだ誰も公式に明言していません。

あくまでも「続編なのか!?」といった程度の表現にとどめています。


ここで最重要視したいのが、「5」の『MIX(ミックス)』というタイトルです。



タッチ (11) (小学館文庫)




『MIX(ミックス)』という単語は、いったい何を意味しているのでしょうか。

この解釈によって、推測される内容は大きく変わってくると思います。


例えば、
「上杉達也と浅倉南が結婚し、双子の兄弟が生まれた」→だから、MIX(ミックス)

『タッチ』の恋人同士が結ばれ、二人の血を受け継いだ子どもたちが活躍する物語。

これなら正統な続編と言えますね。

イメージとしては『キン肉マンII世』のような感じです。


少しひねると、
「上杉達也が母親の異なる子どもを2人作り、血筋の違う兄弟が生まれた」→だから、MIX(ミックス)


飛躍はしていますが、例えば達也は南と結婚して長男をもうけたのだが、直後に南が病没。
その後、再婚した新田由加との間に次男をもうけた……とか?
(男の子2人は兄弟だが、双子であるかどうかまでは不明)

達也×南(=新体操の女王)、達也×由加(=新田明男の血)という
血筋の違いがもたらす兄弟の葛藤とドラマ……。


この場合、何となくシティーハンターの続編である
『エンジェル・ハート』に近いノリになりそうですね。



もっともっと極端な発想もできます。

『2人の兄弟は達也&和也の生まれ変わり!
     しかも、他作品のあだち充キャラ総出演!!』


       →だから、MIX(ミックス)!!!


…………とか?

作品の舞台はある種のパラレルワールドで、そこには達也&和也にそっくりな双子がいて、
もちろん和也は事故で死なないし、達也も和也に気を使って野球をやめてもいなくて、
隣町の野球部には『H2』の国見比呂や橘英雄、『クロスゲーム』の樹多村光や東雄平なんかもいて、
『ラフ』の大和圭介や『KATSU!』の里山活樹あたりもチョイ役で顔を出したりして、
あるとき全作品のヒロインたちが大集結しちゃったりもする。


つまり、あだち充版の『大甲子園』が描かれるというわけです。


さすがに、それはないかー。






   
   

『ラストイニング』33巻発売。

 



『ラストイニング』の33巻が発売されました。


夏の甲子園2回戦、大豊との試合もクライマックス!

四番・大宮が主砲の一撃で勝負を決めるか!?

エース・日高がついに甲子園で150キロを記録!?



今巻も、目が離せない展開が続きます。

個人的な印象としては、

鳩ヶ谷監督によって1年で作り上げられたチームが、

この試合で1つの〝完成形〟になったなぁ、

という感じですね。



地方予選のときから悩みに悩み抜いてきた大宮剛士は、
ようやく「自分らしいバッティングとは何か」の答えを見つけつつある状況。

キャッチャーの八潮創太は、エースと監督からの信頼を勝ち取り、
配球だけではなく、試合そのものをリードできるような選手になりました。

またチーム全体も、エラー絡みの失点を許したところで
「1点ゲーム」を思い出し、気持ちを入れ替えて追加点を防ぐなど、
随所に勝負強さを見せています。


なかでも注目したいのは、やはり日高直哉。

彼は本当に、ピッチャーとして、野球選手として、人間として、大きく成長しました。


鳩ヶ谷と出会ったばかりの頃、剥き出しの反抗心で逆らってばかりいた日高。

当時の彼に対し、鳩ヶ谷が投げつけたセリフをここであらためて引用してみたいと思います。


「まわりは自分よりヘタクソな連中ばかりで、
 いつも足を引っ張られて点を取られた……そう思ってんだろ。(中略)
 だからダメなんだよ!! お前は!!」(第2巻より)

「味方のエラーでピンチになっても それを自分の力で抑えるのがエースだろ!?
 まわりが気になるのは 自分の投球に集中していない証拠だ!!」(前同)

「日高……三振を取りたいんだろ?(中略)
 だったら目指せよ……150キロを!!」(前同)




今の日高が、あの頃の未熟な野球少年が目指そうとした
1つの〝完成形〟であることが、これらのセリフからもうかがえます。


日高のこうした成長を「マンガだから」と切って捨ててしまうことは簡単ですが、
現実の高校野球でも、指導者ひとりで高校生はガラリと変わってしまうものです。


さて、次はいよいよ甲子園3回戦。
東東京代表・帝大一高(帝都大学第一高校)の登場です。

甲子園常連校を相手に、鳩ヶ谷の取った決断とは!?



のっけから、いきなり試合が動きます!






 
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【 ツクイヨシヒサ 】


マンガ評論家&ライター。1975年生まれ。書籍、雑誌、ムック、インターネットなどで活動。

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●著書「あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論」(飛鳥新社)発売中。

  


●編著「ラストイニング 勝利の21か条 ─彩珠学院 甲子園までの軌跡─ (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)」(小学館)発売中。

  


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