ツクイヨシヒサの「必筆!仕事人」

マンガ評論家&ライターのツクイヨシヒサによるブログです。酸っぱいブドウの酸っぱさについて、主に語っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

2012年08月

ポッドキャスト始めました。

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『野球マンガ談義「BBC らぼ」』
 bbc-lab.seesaa.net/



ずっと前からやりたいと思っていた、
野球マンガについて語るポッドキャスト」をついに始めました!

上記のサイトで配信しています!


記念すべき第1弾は、ちばあおき先生の名作『キャプテン』。

『野球部あるある』シリーズでお馴染みの菊地選手がゲストに登場しています。



よかったら聞いてみてください。




  

あだち充『MIX』第3話&第4話

 


『ゲッサン』にて連載中の あだち充『MIX』第3話&第4話のまとめです。

第3話の終わりに、ストーリー上で大きなカギになりそうなアイテムが出てきました。

明青学園の背番号「1」のユニフォームです。

このユニフォームは投馬の家にある納戸から出てきたのですが、
同じ回で投馬の父親は明青学園野球部のOBではあるものの、
当時の背番号は「12」であったことが語られています。


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つまり、投馬は別の誰かの息子である、という可能性が示されたわけです。

明青学園の背番号「1」を付けていた人物で、
息子がこの顔ということは…………いやいや、まさか。ねえ。




─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・

第4話まで読み進めた全体の感想としては、

「あだち充があだちマンガを意識的にトレースしている」

という印象をとても受けます。


自ら進んで作品を〝テンプレ化〟しているというか。


「犬の名前がパンチ」(テンプレ1)、「両親の夫婦仲が円満」(テンプレ2)など、
設定上のお約束はいつも通りとして、
「ヒロインがスパゲッティを作ってくれる」(テンプレ3)、
「放課後、お好み焼きを食べて帰る」(テンプレ4)、

など、今回は作中の細かい部分まで
わざわざ「マンネリに見える」描き方をしている気がします。


果たして、このまま「ザ・あだち充」を描き続けるのか、
それともファンの予想を裏切る「ビッグ・サプライズ」を用意しているのか。

第5話以降を待ちたいと思います。



   

「第4アウト」と野球マンガ

「これは…マンガで出てきた
  あの場面!! 済々黌の頭脳勝ち」
(スポーツ報知より)


2012年、夏の甲子園2回戦。

済々黌(熊本)と鳴門(徳島)の試合で「第4アウト」を巡るプレーが起きました。


2-1で迎えた7回1死一、三塁。遊撃を襲ったライナーが好捕された後、一塁に転送され、併殺となったが、三塁走者の中村謙太二塁手(3年)は三塁に戻らず一気に本塁へ。3アウトよりも早くホームを踏み、生還が認められた。守備側の鳴門(徳島)のアピールがあれば入らなかった1点だが、済々黌はそれを承知で仕掛け、奪い取った。(日刊スポーツより)


同じようなシーンが水島新司『ドカベン』の
明訓 - 白新戦に描かれていたため、翌日の新聞はこぞって

「ドカベン流頭脳プレー」
「ドカベン走塁」
「ドカベン読んで大成功!」


と書き立てました。


守備側が「第4アウト」の置き換えを行わなかったために、
攻撃側の得点が認められた今回のプレー。


『ラストイニング』の地区予選決勝、
彩珠学院 - 聖母学苑戦にも登場しています。


 


『ドカベン』のほうはスクイズ失敗からの流れですが、
こちらはショートライナーからのダブルプレー成立。

より本件のプレーと相似しています。


もちろん解説本である『ラストイニング勝利の21か条』の中でも取り上げています。

 


「File18.コラム ルールブック
 プロですから完璧に理解できない、野球規則の落とし穴」


この章において、ライターの村瀬秀信氏(『プロ野球最期の言葉』などの著者)は、
同様のプレーが2011年のセンバツ、2009年秋の関東大会、1982年夏の甲子園などでも
起こっていたことを指摘しています。

つまり「第4アウト」の置き換えは、
我々が思っているほど〝幻のプレー〟ではない、
あらかじめ知識として持っていたかどうかが、
勝負の明暗をわけた、ということです。

事実、済々黌の選手は
「小学生の時に読んだ野球漫画『ドカベン』でこのルールを知った」(時事ドットコムより)
と語っており、この試合でも「狙っていた」(前同)ことを明かしています。


マンガで得た知識を実行に移す応用力もさることながら、
平成生まれの小学生にも読まれ続ける
『ドカベン』の影響力もハンパないです。



済々黌のみなさん、次はぜひ『ラストイニング』にもチャレンジしてみてください。



   

『ラストイニング』34巻発売。

  


今年もおいでませ、夏の高校野球シーズン!

ということで、『ラストイニング』34巻です。


引き続き、試合は帝大一高(帝都大学第一高校)戦。
内容はやや煮詰まり気味です。


以前33巻のときのエントリーで、
鳩ヶ谷のサイガク野球は、ここに来て

「1つの形になった」

と断言しましたが、
今巻ではむしろ、なんとな〜く

「アタマ打ちの様相」

を呈しています。


選手一人ひとりは、ほぼベストのプレイをし、
チーム全体として得点も積み重ねてはいるものの、
どうもアチコチに小さな綻びが見え隠れするこの試合。

送りバント失敗、相手のスクイズ阻止できず、
ゲッツー崩し実らず、ラン・エンド・ヒット直撃、
そして何より、先発投手のムリな続投……。


ミスをしても、大きな傷につなげていないのは、
紛れもなくサイガクの実力なのですが、
一方で、甲子園のベスト8以上を狙うためには、
それ以上の〝何か〟が必要であることもうかがわせています。


象徴的なのが、先発スティーブの存在です。

彼は本来、この試合に登板するような投手ではありません。
エース日高を温存するために、やむなくマウンドへ送られています。
本人もその事実をよく理解しているため、ピッチング自体に乗り気を見せません。

それは、まあいいです。気持ちはわかります。
問題は彼をリードする捕手のほうです。

今までは捕手である八潮が、精神面でも配球面でも上手くリードしてやってきたのですが、
この試合に限っては、その態度が〝度を越している〟ような気がします。

ニラんだり、諭したり、ゲキを飛ばすだけでは収まらず、
円陣のなかで腹を殴ったり、怒って全力で返球したり……。

この噛み合わない感じは、八潮とスティーブが
もはや野球選手として同じステージにいないことから起こっています。

全国上位レベルの捕手になりつつある八潮に対し、
進歩らしい進歩を見せないスティーブ。

その隔たりが、2人の関係性を変化させていっているのです。


仮にもし、日高に次ぐ2番手、3番手の投手がサイガクにいれば、
序盤からペースを握ったこの試合は、八潮の力だけで難なく勝ち上がれていたはず。


現状はそうなっていないわけですから、つまり

「チームとしての〝力の限界〟」

が見えてきたということです。


鳩ヶ谷の指揮に、いつもの執念めいた強引さを感じないのも、おそらく同じ理由でしょう。

本気で勝ちに行くなら、日高にムリをさせるしかない。しかし、

ムリを強いる時点で、もはや実力ではないと



さあ、サイガクの夏はいつまで続くのか。
35巻に期待です!




 
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【 ツクイヨシヒサ 】


マンガ評論家&ライター。1975年生まれ。書籍、雑誌、ムック、インターネットなどで活動。

●ツイッターはこちら↓ https://twitter.com/tukui88

●執筆・取材・講演依頼等のお問い合わせは、下記の【メッセージ】フォームよりお気軽にどうぞ。ご意見・ご感想もお待ちしています。

●著書「あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論」(飛鳥新社)発売中。

  


●編著「ラストイニング 勝利の21か条 ─彩珠学院 甲子園までの軌跡─ (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)」(小学館)発売中。

  


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