スペシャルドラマ『必殺仕事人2012』が放映されたので感想をば。

 ↓今回、絵が少ないので公式ホームページのアドレスを貼っておきますね。
 朝日放送『必殺仕事人2012』(http://asahi.co.jp/hissatsu2012/)


必殺と言えば、まず〝オープニングの口上〟なわけですが、
本作の市原悦子さんによる語りは以下の内容でした。



あの世の地獄と この世の地獄 どちらも地獄にかわりなし
どっかで誰かが泣いてるかい そうかいそうかい そういうあんたにゃ他人事か

云わぬが花とは申されど ひとこと云わせていただきます
あんたが見るか おいらが見るか 誰かが地獄を見なけりゃ終われねえ
善男善女にゃ無縁の話で御座います




おお、カッコいい!

「善男善女にゃ無縁の話で御座います」

キタコレ! のさばる悪を、その上を行くワルたちが退治しちゃうよコレッ!と
一気にテンションが上がったのですが、
じつは今回のスペシャルにおけるクライマックスはココでした……。


本編は正直、ちょっとガッカリ。


ここでちょっと、過去の流れを振り返ってみます。


  


東山紀之演じる渡辺小五郎をメインに据えた今シリーズは、
『必殺仕事人2007』『~2009』『~2010』と、
「緊張感があり、なおかつ美しい必殺」
スタッフが一丸となって新たに作り上げている印象がありました。

それだけに…………ちょっと残念です。


制作発表当初は、「必殺までジャニーズの軍門に下るのかよ……」という
悲観的な見方が大半だったと思うんですが、
シリーズを進めていくうちに

「意外とアリかも」
「思ったより頑張ってる」
「むしろ末期の頃の仕事人よりも必殺っぽいんじゃ?」

という好意的な意見が増えてきていたように思います。


オレも、渡辺小五郎の仕置きシーンは
中村主水とは、またひと味違った画面の美しさがあり、見応えがあって毎回楽しみですし、

田中聖演じる仕立屋の匳も、色気のある反逆児という感じで大好きです。
どちらも、このままシリーズを代表する仕事人になってほしいと願っています。


また脚本についても、
〝アイドル仕事人〟になってしまったことによる露骨な制約
(女性は仕置きされないとか拷問シーンはカットするとか)
が出てくるのではないかと危惧していたのですが、それも杞憂に終わり、

必殺ならではの「一蓮托生ではあるが馴れ合いはなしない」という仲間意識も、
ここまで上手く描かれてきたように思います。


それだけに……ですよね。






今回は、キャラクターもストーリーも何だかブレブレな感じが否めませんでした。

例えば、登場人物の設定。

いきなり渡辺小五郎が、サボり魔の芝居好きから、
借金も辞さないギャンブル好きになってしまってますし、

経師屋の涼次(松岡昌宏)は食い道楽が高じて、
カレーやらポテトチップスやらを考え出すアヤシイ料理発明家に……。


まあ、中村主水も下戸だったのにいつの間にか酒好きになってたりしましたし、
政のように花屋から鍛冶屋へ職業変えした例もあるので、
細かい設定が変わるのは別にいいと思うのですが、
全体に何だか〝ユルい方向〟に行っている感じがしたのが気がかりです。


また、涼次が匳の将来を気遣い、仕事人からの足抜けを促すといった
〝思いやりエピソード〟などを盛り込むあたり、
作品の空気感も全体に〝後期後半〟の仕事人みたいになった気がします。


ストーリーのほうも、
公共事業を牛耳る悪党どもが弱者を喰い物にし、
哀れにも巻き込まれた若い恋人たちのために恨みを晴らす

という何のヒネリもない必殺ストーリーでしたね。



渡辺小五郎の必殺は、これからまた何年、何十年と
新たな歴史を紡ぐだけの可能性を秘めていると思います。


だからこそ安易な必殺フォーマットの模倣に収まらず、
小五郎ならではのギラギラとした仕事人像を
作り上げていってほしいです。



とりあえず例のヤツ。




    _
   /○\
   ||     \
   ||       \
   ||        \
   ||          \
 Λ||Λ           \
( / ⌒ヽ           \
 | |   |            \
  ∪ 亅|              \
  | | |              \
   ∪∪                  \ ∧_∧  
                     (\´∀`) 
                     (つ|⊂ )
                     (⌒)_\
                     (_)_○

                  晴らせぬ恨みをニャー





今回は中村主水亡き後、
本当の意味での第一作だっただけに注目でしたが、

次回作に期待です!