ツクイヨシヒサの「必筆!仕事人」

マンガ評論家&ライターのツクイヨシヒサによるブログです。酸っぱいブドウの酸っぱさについて、主に語っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

マンガ論/考察

考察『昭和元禄落語心中』/〝表現者〟と〝体現者〟の対比


   
    『昭和元禄落語心中』


ちょっとお仕事の関係で、アニメ『昭和元禄落語心中』のDVDを手に取ったら、
結局、面白くて第1シーズンの最終話まで一気に観直すはめになりました。

ので、考察&雑感を備忘録。
いつもの「ネタバレ配慮のショートコラム」的なアレです。

─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・

『昭和元禄落語心中』は、
有楽亭八雲(八代目)と、彼の親友・有楽亭助六(二代目)、
さらに八雲の弟子・有楽亭与太郎という、
3人の落語家を中心にして巡る物語です。

観始めて、まず思うのは

「夏目漱石の『こころ』みたいな話だなあ」

ということ。

理知的な師、彼を慕う若者、ほのめく暗い過去……。
ああいう雰囲気が好きな人は、まあハマる気がします。

で、「先生」と「K」がそうであったように、
『〜落語心中』においても
「八雲(というか菊比古)」と「助六(あるいは初太郎)」
の過去が、とても重要な意味を持っているわけです。


この作品を観ながら、僕がもっとも
「うまいなぁ」「エライこと描くなぁ」と考えさせられたのは、

「〝表現者〟と〝体現者〟の対比」です。



   


落語というのは、いうなれば
「人間の業をあたたかく受けとめるエンターテイメント」です。

人間が人間らしいがゆえに、陥る滑稽さ、醸し出す可笑しみ……。

そう考えると、八雲(というか菊比古)は、
落語からもっとも遠く離れた生活を送っている男です。

彼は人生全般において己が理性を働かせ、
不相応な振る舞いを自らに許しません。

彼にとって落語は、
生きるために身に付けざるを得なかった「芸」であり、
だからこそ大名人と呼ばれるほどの
腕前にまで磨き上げることができた、ともいえます。


一方、助六(あるいは初太郎)は、
自分と周りの感情を何よりも優先させる、
人間味が服を着て歩いているような男です。

彼にとって落語は、自分自身の「生き様」であり、
だからこそ彼の噺は、名だたる真打ちを差し置いて
人々の心を捉えて放さない、と解釈することができます。


が、しかし……。



   



助六(あるいは初太郎)は、

誰よりも落語的であったがゆえに、
その業によって身を滅ぼしていきます。


落語の〝表現者〟となった八雲(というか菊比古)と、
落語の〝体現者〟となった助六(あるいは初太郎)。


2人の生き方を決定的に分けて見せたのが、
みよ吉(もしくは百合絵)という哀しい女性の存在でした。

落語から遠く離れた価値観で生きていたから、
みよ吉を退け、落語を選ぶことができた八雲(というか菊比古)。
落語そのものの人生を送っていたから、
みよ吉を受け入れ、落語を捨てる決心をした助六(あるいは初太郎)。

この皮肉めいた対比が、『〜落語心中』という作品の
根幹を成していることは疑いようがありません。

浅田次郎の小説『三人の悪党 きんぴか1』に、
以下のようなセリフが出てきます。

「あれほど言ったじゃねえか、浪花節は聞くもんで、歌っちゃならねえって」


助六(あるいは初太郎)に聞かせてあげたい言葉です。

『〜落語心中』、来年のアニメ第2シーズンも楽しみです。

「週刊プレイボーイ」野球マンガ座談会(2)

 


週刊 プレイボーイ 2014年 12/22号」にて、参加させていただいた座談会、

「全野球マンガから最強ベストナインを決める!!」

「中学・高校野球編」が掲載されています。


江夏豊氏の「アウトロー野球論」と、
橋本清氏による楽天・大久保監督インタビューに
挟まれるという、何かスゴい台割りとなっております。

『ヤンキーマンガ ガイドブック』発売

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「ヤンキーマンガガイドブック (文化系のためのヤンキーマンガ入門)」


こんな本が出ましたー。


「世界よ!これが日本文化だ!(ヤンキー×マンガ)
 世界初! ヤンキーマンガだけのガイドブック! ! !

 50年にわたるヤンキー文化の歴史を、
 マンガというメディアを通して概観する1冊」




どうです、面白そうでしょう?

このなかで、コラムや作品紹介、インタビュー原稿などを書いています。


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Amazon で中身をちょっとだけ見ることができますよ。

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ちなみに紹介文に掲載されている、「本書の特色」は下記の通り。

「●1、1960年代末から2010年代までに発表された「ヤンキーマンガ」のうち、ヤンキー文化史的・マンガ史的に重要と思われる100作品以上が解説つきで紹介。
●2、ディケイドごとの時代背景や、モチーフに焦点を絞った作品横断コラム、論考、エッセイ、漫画家や編集者の当事者証言なども掲載することで、「ヤンキーマンガ」という領域を全方位から考察。
●3、書き手は、手練のマンガ読みから評論家、社会学に通じた論者、小説家と幅広い」




ヤンキーマンガが好きな人も、そうじゃない人も、
「ヤンキーマンガとはなんぞや!?」を楽しめる一冊となっています。

ぜひ読んでみてください。



 

「週刊プレイボーイ」野球マンガ座談会(1)

  



週刊 プレイボーイ 2014年 12/15号」にて、

「全野球マンガから最強ベストナインを決める!!」

という座談会記事に参加してきました。


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2週連続企画となっており、今回は

「水島マンガ編」&「プロ野球マンガ編」

が収録されています。


2時間の取材時間が、結局6時間ぐらい話していたんじゃないかなぁ(笑)。

とにかく、熱くてディープで楽しい座談会でした。

気になる結果は…………誌面で確認してください!




  

「野球太郎」で記事を書きました。

  
野球太郎No.010 高校野球監督名鑑号


史上初! 高校野球の監督、約500名を網羅したという
「野球太郎 高校野球監督名鑑号」にて、2つほど記事を書きました。



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1つは、「クロカン」「砂の栄冠」で有名な三田紀房先生へのインタビューです。

現実の高校野球で好きな監督たちの話や、ガーソ誕生秘話(@砂の栄冠)などを語ってもらいました。

マンガ界でいち早く高校野球の監督にスポットを当てた三田先生だけに、
「(高校野球の監督は)一言で言うと、相当なモノ好き」
「高校野球の監督という、世界にたった4000人の変わった人種がいる」
などの言葉は、とても説得力がありました。



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もう1つは、「漫画界の名将たち」です。

今号では、全国49地区の監督を分析しているのですが、
50番目に野球マンガ界の名将たちも挙げてみよう、というわけです。

「ドカベン」の徳川監督から、「ダイヤのA」の片岡監督まで幅広く言及しています。

本文は「全国区監督」「有力監督」「女性監督」「未知数監督」の4つで構成。
監督としての実績や指導力などをなるべく客観的な視点で評価しています。


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さらに「タイプチャート」も用意。
「剛←→柔」「大胆←→緻密」を軸に解説しています。

そのほか「注目の対決」「伝説の名将」のコラムも掲載。

高校野球ファンだけでなく、野球マンガ好きの方にもぜひ読んでもらえたらと思います。

ではではー。



  
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【 ツクイヨシヒサ 】


マンガ評論家&ライター。1975年生まれ。書籍、雑誌、ムック、インターネットなどで活動。

●ツイッターはこちら↓ https://twitter.com/tukui88

●執筆・取材・講演依頼等のお問い合わせは、下記の【メッセージ】フォームよりお気軽にどうぞ。ご意見・ご感想もお待ちしています。

●著書「あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論」(飛鳥新社)発売中。

  


●編著「ラストイニング 勝利の21か条 ─彩珠学院 甲子園までの軌跡─ (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)」(小学館)発売中。

  


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